江渕広登
 えぶちひろと
1965年 福岡県 八女市生まれ、在住


私はカヌーを造る人です。

八女の伝統工芸でもある仏壇職人の父をもつ私は、昔から木とふれあい、その温もりを身近に感じてきました。私の唯一のとりえと言えば、そんな親に似てほんの少し手先が器用なこと、直線的な木を丸く加工するのが好きでした。

子供のころ、なにかで目にした「ウッドカヌー」 衝撃的でした。一目見た瞬間、将来目指すものの一つになってしまったことは言うまでもありません。

小学生のころ、友達と一緒にそんな憧れのカヌーを作ったことがあります。今で言うファルト.ボートみたいな、竹の骨組みにシートを張っただけの簡単なもので、カヌーというには程遠いもの、人は馬鹿にしたけど製作に携わった少年達には大きな喜びでした。

進水式なるものを、みんなでやりました。バランスを考えたわけでもなく、ただカヌーっぽく見える。結局それは、浮かべただけで人が乗れる代物ではありませんでした。誰も乗らないまま、船の役目も果たせずに流されちゃいました。まだ小さかった私ですが、なにか大きなものを心に刻み込んだ日になりました。

それからも私は「ひとが乗れる(木)のカヌー」を、いつか作りたい。そう思い続けてきました。それは工作少年(私)がいつの頃からか憧れつづけてきた究極の木の形だったからです。

今では工作おじさんになりましたが、自分を活かせるフィールドはあの頃と変わりません。現在もあの憧れの形を追い求め傍らでカヌーを造り続けています。

子供の頃の竹組の舟はどこかへ流されてしまったけど、その頃の夢は、流されずに心の隅に引っ掛かってたようです。




ウッドカヌーは何と言ってもグルー(接着剤)が命。
得意な木工に比べ、エポキシ技術は未熟でした。

そこで、エポキシのノウハウをご伝授して頂くべく選んだ師匠はこちら(写真左)、あの世界的に有名なカヌービルダーのテッド.ムーア氏のもとでカヌー造りを学ばれた知る人ぞ知る、「Hiro Wooden Canoe Shop」永瀬氏です。



今後も皆様のご愛好のほどよろしくお願いいたします。